KAI動物病院

幹線道路沿いの元コンビニエンスストアを改修した病院です。13台のゆったりした駐車場と平屋の一戸建といった、テナントとしては恵まれた環境での計画です。設計のテーマは「典型的なコンビニの善し悪しを再構築して魅力的な病院に再生する」ことでした。まずコンビニエンスストアの「善し」は、誰にでも使い易い施設であり建築的に余裕のある寸法でユニバーサルデザインに配慮し計画されていることです。（多目的トイレ、自動ドア、段差の無いアプローチ、誘導ブロックの設置etc）反して「悪し」は商業主義の合理化されたデザインとアイコン化されたイメージによって、愛着や個性と行ったモノからかけ離れていることと捉えることができました。
以上をふまえて、客用トイレなどの設備は既存をそのまま再利用し、待合い室は特有の長い間口から犬と猫の待合いスペースを物理的な距離で左右にゾーニングし、「人から犬と猫までケアした、ユニバーサルデザイン」となるよう意識しています。ファサードは駐車場のアスファルト色を採用して敷地と同一視し、看板との明度差を保持して視認性を生み出しています。またインテリアの木調を引き立てて印象付け、落ち着いた雰囲気を産み愛着を持ってもらえる雰囲気になるよう意図しています。待合室の長さ14mの天井吊りの間接照明は、壁と天井の木調面を柔らかくライトアップして照度を確保し、街に暖かい光を灯します。「ユニバーサル」且つ「麗らか」な病院として地域に愛されていく事を期待しています。