上祖師谷の長屋

APARTMENT IN KAMISOSHIGAYA2012

都内の新興住宅街にある畑を分譲区画した、旗竿地に建つ(施主住居+賃貸3戸)長屋です。
都市部の狭小長屋において、各住戸がいかにプライベート性を確保しつつも開放的な住環境を得ることができるかがテーマでした。
そこで昔ながら、多数の生活が軒を並べた「町家」に見られる構成から町(公共性)を緩やかに家に取り込んだ「土間」やプライベートでありながら外部環境を取り込んだ「坪庭」といった、環境に対してスムーズな距離感をもった空間をモチーフに計画しました。

結果、積み木の様に必要スペースを積み上げながらあえて「スキマ」を持たせた構成としています。「スキマ」は外部との関係(採光、通風、視線、生活音)をワンクッションおいて内部に届けたり、遮ったりする役割をもっています。
各住空間の直接外環境(共用部や外部)に面する接点(窓や玄関)を徹底的にコントロールした結果、外観上も豊かな共用部となることができたと考えます。

都市での豊かな近隣との繋がり方を考えた時、完全に閉ざすわけでもなく、おおっぴろげに繋がる訳でもない、スキマを介して緩やかに繋がることを強く意識した「町家」の様な構成は、現代の「向こう三軒横隣」コミュニティーや、想像を超えた豊かな地域社会のシーンが生まれてくる可能性を秘めていると考えます。

建築概要

計画地 :東京都世田谷区
計画内容:新築 木造2階建
建築面積:85.70 ㎡ /25.92 坪
延床面積:155.26 ㎡ /46.97 坪
用途  :長屋
共同設計:進藤強/BE-FUN DESIGN(Y-STUDIO)
施工  :元気建設
写真  :平井広行

受賞・掲載等:
新建築社「住宅特集」 2013年8月号 掲載
東京建築賞「第41回建築作品コンクール 共同住宅部門|優秀賞」

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