この土地は、まるで住宅地の余白に生まれた“パンの耳”。東と西へと抜けるその形は、個性と挑戦を同時に宿す、他にはない存在です。崖下に身を置く敷地は、自然の厳しさと向き合う場所でもありました。
1階は堅牢なRC基礎で大地にしっかりと根を下ろし、2階は軽やかな木造で空に伸びる。下駄を履いた建物の姿は、悪路を駆け抜けるオフロード車のように、地形の難しさをものともせず、力強く立ち上がります。
2階は南斜面に向かって身を乗り出し、崖越しの光を受け止めるように広がります。形状の制約が生む余白は、建物を核とした屋外空間を生み出し、そこには日常のささやかな冒険や、自由な創造の可能性が待っています。
この建物は単なる居場所ではなく、光と風、地形と対話する拠点。そこに立つ人の心に、土地の記憶と個性を伝えながら、新しい生活の物語を静かに紡いでいきます。
建築概要
建築面積:49.06 ㎡ /14.84 坪延床面積:99.28 ㎡ /30.03 坪
用途 :一戸建ての住宅
構造設計:ジムネ構造空間研究所
施工 :大同工業
照明 :Mantle Inc.
写真 :GEN INOUE




















